メカナムローバーVer.3.0は、弊社製研究開発用台車ロボット「メカナムローバーVer2.1」の後継機です。可搬重量約40kgの大型筐体、追加工やカスタマイズを行いやすいアルミニウム製、ソフトウェア開発を容易なものとするArduino IDE対応、柔軟で高度な制御を実現するROS1対応といった数多くの特徴をそのまま継承し、さらに、駆動輪にダイレクトドライブタイプのインホイールモーターを採用することで、従来機種と比較し動作音の静音化に成功しました。
メカナムローバーは、前後・左右・回転を組み合わせた自由度の高い移動ができることが大きな特徴で、細かい位置制御が求められる搬送・自律移動などの研究開発プロジェクトに好適です。また、様々な目的に合わせた豊富なオプションを用意することにより、求められる用途に合わせて機能を拡張、カスタマイズすることが可能です。
昨今の自律制御台車ロボットは、その用途において音声認識や周辺音量の計測などが必要となる場面も多く、台車ロボットそのものが静粛に動作することが求められています。本製品では、車輪の駆動にインホイールモーターを採用することにより、旧製品と比較し動作音を大きく低減しています。
本製品では、前後・左右・回転の動きを自由に組み合わせることができる四輪メカナムホイールを採用しています。台車ロボット本体の向きを変えないまま真横や斜め方向に移動するなど、外部からの位置制御に柔軟に対応できることが大きな特徴です。
可搬重量は旧モデルと変わらず約40sを実現しており、最高速度は実測で1.6m/sを達成しています。大型の自律制御台車ならではの、実用的な運搬用途を想定した研究・開発が実施できます。
※本製品は乗用を意図して設計されたものではありません。
メカナムローバーVer.3.0は、Wi-Fiによる無線通信と有線のUSBシリアル通信に対応しています。指定のコマンドを用いることで、PCやタブレットなど、様々なデバイスから制御することが可能です。また、Bluetooth接続のゲームパッド型無線コントローラーが付属するため、PC等を接続しなくても本体を無線操縦することができます。アナログスティックを使用して、前後へ移動、回転させることもでき、動作確認のための手動操縦、非常時の操作手段等としてお使いいただけます。
また、ゲームパッド型無線コントローラーが付属するため、PC等を接続しなくても本体を無線操縦することができます。アナログスティックを使用して、前後へ移動、回転させることもでき、動作確認のための手動操縦、非常時の操作手段等として使用可能です
本製品に搭載されている制御ボード「VS-WRC058」には、ESP32-WROOM-32マイコンが搭載されており、Arduino IDEを用いて制御プログラムを作成することができます。サンプルコードはArduinoライブラリーの形で製品に付属し提供されますので、ユーザー自身の手でファームウェアのカスタマイズを実施することも可能です。
※VS-WRC058をArduino IDEを用いてプログラミングする場合、Arduino IDE 1.8.13以上が動作する環境が必要です。
本製品の本体フレームはアルミ部材にて構成されています。十分な強度を持つと同時に加工が容易なので、ユーザー自身の手で、様々な拡張を容易に行うことができます。上部天板に取り付け穴を開けて部品を追加すること等も可能で、研究・開発の推進に欠かせない自由な拡張性をもたらします。
メカナムローバーVer.3.0はROS(ROS1)メッセージ通信に対応しており、ROSが動作するデバイスとWi-FiまたはUSBケーブルで接続することで、rosserialのパッケージを用いたROS1のメッセージ通信が可能です。標準ファームウェアでは、geometry_msgs/Twist型を使って、ROSからメカナムローバーに対して移動速度指令値を送信したり、メカナムローバーから現在速度やバッテリー電圧を取得したりすることが可能です。また、ユーザーの手によってファームウェアを変更することで、上記の他にも任意のメッセージを送受信することが可能です。
なお、ROSを動作させるデバイスは別途ご用意いただく必要があります。弊社で推奨するデバイスの動作環境は次の通りです。
※本製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合があります。
OS | Ubuntu18.04 (64bit) | Ubuntu20.04 (64bit) |
ROS | ROS Melodic | ROS Noetic |
CPU | Core i5 8365U | AMD Ryzen5 3550H |
メモリ | DDR4 PC4-19200 8GB | DDR4 PC4-19200 16GB |
ストレージ | M.2 SSD 250GB | M.2 SSD 250GB |
グラフィック | 内蔵 | 内蔵 |
※ 上記条件を満たしていても、相性などにより、正常に動作しない場合があります。
※ 仮想環境は、タイムラグにより安全な制御が行えない場合があり、推奨しておりません。
制御基板であるVS-WRC058をROS 2に対応させるファームウェアを公開しました。
ファームウェアはサンプルスケッチの形で提供され、Arduino IDEにて対象の基板に書き込んで使用します。これにより、micro-ROSを使用してROS 2から対象機種を制御することが可能となります。
なお、Arduino IDEを用いたスケッチ書き込みについて、「ROS PC(UM350)オプション」から直接行うことはできません。(ROS PC(UM590)オプションの場合には可能です)詳細は弊社までお問い合わせください。
配布URLにつきましては、対象製品に添付された資料に記載のURLからダウンロードが可能です。
ROS 2で使用可能なサンプルパッケージを公開
本体のROS 2対応に合わせて、ROS 2環境で使用可能なサンプルパッケージを公開しました。今回公開した主な機能は以下の通りです
【サンプルパッケージ一覧】
ROS 2使用時の推奨環境
今回公開したROS 2対応ファームウェアおよびサンプル類について、推奨の使用環境は以下の通りです。
【ROS 2使用時の推奨動作環境】
OS | Ubuntu 22.04 |
ROS | ROS 2 Humble |
CPU | AMD Ryzen? 5 3550H |
RAM | 16GB |
ストレージ | M.2 SSD 250GB |
グラフィック | Radeon? Vega 8 Graphics |
※上記条件を満たしていても、相性などにより、正常に動作しない場合があります。
※仮想環境は、タイムラグにより安全な制御が行えない場合があり、推奨しておりません。
本製品には、従来のモデルで別売オプションであった「非常停止スイッチ」を標準搭載しています。また、非常停止スイッチの取り付けられた側を台車ロボットの「前」とするか「後ろ」とするかについては、配線あるいはプログラムを変更することで切り替えが可能です。実運用の状況や、追加する拡張機器の搭載状況などに応じ、ユーザー側で入れ替えて使用することを想定しています。
メカナムローバーVer.3.0は、旧製品と同様に数多くのオプション品に対応しています。用途に合わせたセンサーや構成部品を追加することが可能で、多様な研究・開発分野にて、大型の研究開発用台車ロボットの可搬性や走行能力を存分に活用することができます。
製品名 (型番) |
メカナムローバーVer.3.0 |
---|---|
サイズ | W392×D323×H165 (mm)※車高はサスペンションにより変化 |
本体重量 | 約17.9kg |
最高速度(実測値) | 1.6m/s |
積載重量 | 約40kg |
本体材質 | アルミニウム |
バッテリー | 24Vシール鉛バッテリー 288Wh |
駆動方式 | 四輪駆動メカナムホイール、サスペンション搭載 |
タイヤ直径 | 152mm |
モーター | BLDCモーター 40W×4 |
制御基板 | VS-WRC058 |
ROS対応 | ROS1に対応 |
SDK | VS-WRC058用 Arduinoライブラリー、ROSパッケージ |
収録サンプル
※本製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合があります |
Arduinoライブラリー 車輪制御 / 各種通信機能等 ROS用サンプルコード ゲームパッドからの操作 マウス(タッチパッド)からの操作 SLAM(gmapping) navigation |
インターフェース | USBシリアル、Wi-Fi(IEEE802.11b/11g/11n) |
付属品 | 充電器、無線操縦用ゲームパッド型コントローラー |
注文時オプション |
レーザレンジファインダー バンパーオプション(前後) 拡張機器用電源基板 Raspberry Pi 4B ワイヤレス充電 ROS PC / ROS PC(UM350) カメラステー デプスカメラ パンチルト装置 リモート制御 Jetson AGX Xavier(TM) |
ご購入はこちら | メカナムローバーVer.3.0 |
Ubuntuは、Canonical Ltd.の商標または登録商標です。
Arduinoは、Arduino AGの登録商標です。
Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの登録商標です。
BluetoothRは、Bluetooth SIG, Inc. USAの商標または登録商標です。
Intel、インテルは、アメリカ合衆国および / またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。
Raspberry PiはRaspberry Pi財団の商標または登録商標です。
その他、記載されている製品名などの固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標です。